病気やケガで仕事を休んだときに受けられる傷病手当金。
その支給額はどのように決まるのでしょうか?
この記事では、傷病手当金の計算方法と支給額の実例を紹介します。
また、標準報酬月額という重要な概念についても解説します。
この記事は自身もがん経験者の日本FP協会認定AFPが監修しています。
最後まで安心してお読みください。
傷病手当金とは?
- 傷病手当金とは
- 健康保険からもらえるお金のこと
- 仕事を休んだ日から4日目からもらえる
- 最長1年6か月もらえる
- 給料がもらえないときだけもらえる
傷病手当金は健康保険加入者のみがもらえる
仕事をしている人は、健康保険に入っています。
健康保険は、病気やケガで病院に行ったときに、医療費の一部を払ってくれる制度です。
でも、健康保険には、医療費だけでなく、生活費も払ってくれる制度があります。
それが傷病手当金です。
傷病手当金とは、仕事以外の理由で病気やケガをして、仕事を休んだときに、健康保険からもらえるお金のことです。
仕事を休んだ日から数えて4日目からもらえます。
ただし、4日目以前に給料がもらえた場合は、その分は差し引かれます。
最長で1年6か月もらえますが、同じ病気やケガで何回も休んだ場合は、その日数を合わせて1年6か月になります。
傷病手当金は、生活費を補うための制度なので、給料がもらえるときはもらえません。
しかし、給料が傷病手当金より少ない場合は、その差額をもらえます。また、他にもらえるお金がある場合は、そのお金と合わせて傷病手当金より多くならないように調整されます。
傷病手当金の計算方法とは?
- 傷病手当金の計算方法
- 支給日額=(標準報酬月額÷30)×2÷3
- 標準報酬月額とは、お給料とほぼ同じ金額のこと
- 支給開始日以前の12ヵ月分の標準報酬月額の平均を使う
- 給料が半分以下になった場合や出産した場合は、差額をもらえる
傷病手当金の支給額はどうやって計算するの?
傷病手当金の支給額は、どうやって計算するのでしょうか。
まず、支給日額という1日あたりにもらえるお金を計算します。その公式は以下のようになります。
支給日額=(標準報酬月額÷30)×2÷3
この公式で使われている標準報酬月額という言葉は、難しそうですが、お給料とほぼ同じ金額のことです。
お給料は毎月変わることがありますが、標準報酬月額は1年に1回しか変わりません。
健康保険の料金を計算するときに使われる金額です。
標準報酬月額は、会社から通知されることがありますが、わからない場合は、会社や健康保険組合に聞くことができます。
支給日額を計算するときに使う標準報酬月額は、支給開始日以前の12ヵ月分の標準報酬月額の平均です。
たとえば、令和4年1月1日から傷病手当金をもらう場合は、令和3年1月から令和3年12月までの標準報酬月額を合計して12で割った金額を使います。
しかし、支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、その期間の平均か30万円のうち低い方を使います。
支給日額が決まったら、その日額に休んだ日数をかけて、傷病手当金の支給額を計算します。
ただし、休んだ期間に給料が半分以下になった場合や出産した場合は、その分だけ差額をもらえます。
その場合は、給料や出産手当金の日額を支給日額から引いた金額をもらえます。
傷病手当金支給額の実例は?
- 標準報酬月額が30万円、20万円、10万円の場合の支給日額と月額
- 給料が半分(15万円)支払われている場合や出産手当金が受けられる場合の差額支給額
傷病手当金の計算方法がわかったところで、実際にどれくらいもらえるか見てみましょう。
以下に、標準報酬月額が30万円、20万円、10万円の場合の支給日額と月額(30日分)の表を示します。
標準報酬月額 | 支給日額 | 支給月額 |
30万円 | 6,667円 | 200,010円 |
20万円 | 4,444円 | 133,320円 |
10万円 | 2,222円 | 66,660円 |
この表からわかるように、標準報酬月額が高いほど、傷病手当金も多くもらえます。
しかし、傷病手当金はお給料の2/3程度なので、生活水準を維持するには厳しいかもしれません。
次に、給料が半分(15万円)支払われている場合や出産手当金が受けられる場合の差額支給額を見てみましょう。
以下に、標準報酬月額が30万円である場合の例を示します。
- 給料が半分(15万円)支払われている場合
- 給料の日額=15万円÷30=5,000円
- 差額支給日額=6,667円−5,000円=1,667円
- 差額支給月額=1,667円×30=50,010円
- 出産手当金が受けられる場合
- 出産手当金の日額=(標準報酬月額÷30)×2÷3×67%=4,444円
- 差額支給日額=6,667円−4,444円=2,223円
- 差額支給月額=2,223円×30=66,690円
このように、給料が半分(15万円)支払われている場合は、差額支給日額が1,667円になります。
出産手当金が受けられる場合は、差額支給日額が2,223円になります。
どちらの場合も、傷病手当金の全額をもらえるわけではありませんが、少しでも補填されることになります。
標準報酬月額とは?
- 標準報酬月額とは、お給料とほぼ同じ金額のこと
- 健康保険の料金や傷病手当金などを計算するときに使われる
- 毎年10月に決まる
- 変わる場合や変更申請ができる場合もある
傷病手当金の計算方法を見てきましたが、その中で重要な役割を果たしているのが標準報酬月額です。標準報酬月額とは、お給料とほぼ同じ金額のことです。健康保険の料金や傷病手当金などを計算するときに使われます。
標準報酬月額は、毎年10月に決まります。そのときに使われるお給料は、前年7月から今年6月までの12ヵ月分です。たとえば、令和4年10月に決まる標準報酬月額は、令和3年7月から令和4年6月までのお給料を使って計算されます。
標準報酬月額は、基本的には1年間変わりませんが、以下のような場合には変わることがあります。
- 会社が変わった場合
- 職種や役職が変わった場合
- 給与体系が変わった場合
- 給料が大幅に増減した場合
これらの場合には、会社や健康保険組合に連絡して、標準報酬月額の変更申請をすることができます。
変更申請が認められた場合は、その日から新しい標準報酬月額が適用されます。
まとめ
この記事では、傷病手当金の計算方法と支給額の実例を紹介しました。
また、標準報酬月額という重要な概念についても解説しました。
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときに、生活費を補うための制度です。
その支給額は、標準報酬月額というお給料とほぼ同じ金額に基づいて計算されます。
標準報酬月額は、健康保険の料金や出産手当金などにも関係するので、理解しておくことが重要です。
もし、傷病手当金に関する他の記事にも興味がある場合は、以下の関連記事もご覧ください。
関連記事リンク→傷病手当金をもらいながらできる副業5選!注意点やメリットも紹介
コメント一覧表示