傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときにもらえるお金ですが、場合によっては支給が停止(調整)されることがあります。
この記事では、傷病手当金の支給停止(支給調整)の理由と対処法をまとめています。
また、支給停止(支給調整)を避けるための注意点も紹介しています。
この記事は自身もがん経験者の日本FP協会認定AFPが監修しています。
安心して最後までお読みください。
傷病手当金の支給停止(支給調整)の対処法とは?
- 給与や他の給付が傷病手当金より多くなった場合は、その差額を返還するか減額するか選べることの説明
- 病気やケガが治ったり軽くなったりした場合は、医師に診断書を書いてもらって提出することの説明
- 医師から診断書や診断書以外の書類をもらえなかった場合や提出できなかった場合は、その理由を健康保険に伝えて対応を相談することの説明
- 健康保険から必要な連絡や確認ができなかった場合は、早めに連絡して事情を伝えることの説明
傷病手当金の支給停止(支給調整)された場合は、その理由に応じて対処法が異なります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
給与や他の給付が傷病手当金より多くなった場合
傷病手当金は、生活費を補うための制度です。
そのため、給与や他の給付が傷病手当金より多くなった場合は、その差額を返還するか減額するか選べます。
返還する場合は、健康保険に連絡して、指定された口座に振り込みます。
減額する場合は、傷病手当金の日額から給与や他の給付の日額を引いた金額をもらえます。
たとえば、標準報酬月額が30万円で傷病手当金の日額が6,667円の場合、給与や他の給付の日額が7,000円になったとします。
この場合は、以下のように対処できます。
- 返還する場合は、7,000円−6,667円=333円を1日分として、休んだ日数にかけた金額を健康保険に振り込む
- 減額する場合は、6,667円−7,000円=−333円を1日分として、もらえる傷病手当金が0円になる
病気やケガが治ったり軽くなったりした場合
傷病手当金は、仕事を休んでいる間にもらえるお金です。そのため、病気やケガが治ったり軽くなったりして、仕事に復帰できるようになった場合は、支給が停止(調整)されます。
仕事に復帰できるかどうかは、医師が診断書に書いて判断します。
診断書とは、医師が病気やケガの状態や治療法などを書いた書類です。
傷病手当金をもらうためには、定期的に診断書を健康保険に提出する必要があります。
診断書には、以下のようなことが書かれています。
- 病気やケガの名称と原因
- 病気やケガの発症日と回復見込み日
- 病気やケガの程度と治療法
- 仕事に復帰できるかどうか
診断書によっては、仕事に復帰できる日が決まっている場合や、仕事に復帰できる条件が書かれている場合があります。
たとえば、「令和4年1月31日まで休業」とか、「軽度の作業なら可能」とか、「週3日から始める」とかです。
このような場合は、その日や条件に従って、仕事に復帰しなければなりません。
もし、仕事に復帰しない場合は、傷病手当金の支給が停止(調整)されます。
仕事に復帰できるようになった場合は、医師に診断書を書いてもらって提出することが大切です。
診断書を提出することで、傷病手当金の支給停止(支給調整)を正しく行うことができます。
また、診断書を提出することで、仕事に復帰したことを会社や健康保険に伝えることもできます。
医師から診断書や診断書以外の書類をもらえなかった場合や提出できなかった場合は?
傷病手当金をもらうためには、医師から診断書をもらって健康保険に提出する必要があります。
しかし、医師から診断書をも
らえなかった場合や、診断書以外の書類をもらえなかった場合や、提出できなかった場合は、支給が停止(調整)されます。
医師から診断書をもらえない場合は、以下のような理由があります。
- 病気やケガが軽くて、仕事に支障がないと判断された場合
- 病気やケガが長引いて、回復見込みがないと判断された場合
- 病気やケガの原因が仕事以外のことであることが明らかになった場合
- 病気やケガの治療に協力しなかった場合
診断書以外の書類とは、以下のようなものです。
- 健康保険から依頼される質問票や調査票
- 健康保険から求められる医療機関や医師の同意書や証明書
- 健康保険から指定される医療機関や医師への受診の証明書
これらの書類をもらえなかった場合や提出できなかった場合は、以下のような理由があります。
- 医療機関や医師が協力しなかった場合
- 健康保険からの連絡や依頼に気づかなかった場合
- 期限内に提出できなかった場合
これらの場合には、傷病手当金の支給が停止(調整)されます。
支給停止(支給調整)された場合は、その理由を健康保険に伝えて、対応を相談することができます。
健康保険は、個々の事情に応じて、支給停止(支給調整)を解除したり、期限を延長したりすることがあります。
健康保険から必要な連絡や確認ができなかった場合
傷病手当金をもらうためには、健康保険から必要な連絡や確認に応じる必要があります。
しかし、健康保険から必要な連絡や確認ができなかった場合は、支給が停止(調整)されます。
健康保険から必要な連絡や確認とは、以下のようなものです。
- 傷病手当金の申請や受給に関する質問や依頼
- 病気やケガの状態や治療法に関する質問や依頼
- 仕事に復帰できるかどうかに関する質問や依頼
- 指定された医療機関や医師への受診に関する依頼
これらの連絡や確認ができなかった場合は、以下のような理由があります。
- 健康保険からの連絡先が変わっていた場合
- 健康保険からの連絡が届かなかった場合
- 健康保険からの連絡に返事をしなかった場合
- 健康保険からの依頼に従わなかった場合
これらの場合には、傷病手当金の支給が停止(調整)されます。
支給停止(支給調整)された場合は、早めに健康保険に連絡して、事情を伝えることが大切です。
健康保険は、必要な連絡や確認ができれば、支給停止(支給調整)を解除することがあります。
傷病手当金の支給停止(支給調整)を避けるための注意点は?
- 給与や他の給付が変わった場合は、すぐに健康保険に報告することの説明
- 病気やケガの状態が変わった場合は、定期的に医師に診てもらって診断書を更新することの説明
- 診断書や診断書以外の書類は、期限内に提出することの説明
- 健康保険からの連絡や確認には、迅速に対応することの説明
傷病手当金の支給停止(支給調整)を避けるためには、以下のようなことに注意する必要があります。
給与や他の給付が変わった場合とは?
傷病手当金は、生活費を補うための制度です。
そのため、給与や他の給付が変わった場合は、すぐに健康保険に報告する必要があります。
報告しないと、傷病手当金が多くもらえてしまったり、少なくもらえてしまったりする可能性があります。
報告する方法は、以下のようなものです。
- 健康保険から送られてくる質問票や調査票に記入して返送する
- 健康保険から指示される書類を添付して送付する
- 健康保険に電話やメールで連絡する
報告する内容は、以下のようなものです。
- 給与や他の給付が変わった日
- 給与や他の給付が変わった理由
- 給与や他の給付が変わった金額
報告した後は、健康保険から傷病手当金の支給停止(支給調整)や返還・減額などの通知が届くことがあります。
その場合は、その通知に従って対応してください。
病気やケガの状態が変わった場合
傷病手当金は、仕事を休んでいる間にもらえるお金です。
そのため、病気やケガの状態が変わった場合は、定期的に医師に診てもらって診断書を更新する必要があります。
診断書を更新しないと、傷病手当金が正しくもらえなかったり、支給停止(支給調整)されたりする可能性があります。
診断書を更新する方法は、以下のようなものです。
- 医師に診てもらって新しい診断書を書いてもらう
- 健康保険から送られてくる診断書更新の依頼に応じて、医師に診てもらって新しい診断書を書いてもらう
- 健康保険から指定される医療機関や医師に受診して、新しい診断書を書いてもらう
診断書を更新する期間は、以下のようなものです。
- 病気やケガの種類や程度によって異なるが、一般的には1か月から3か月ごと
- 健康保険から指示された場合は、その指示に従う
- 仕事に復帰できるようになった場合は、すぐに更新する
診断書を更新した後は、健康保険に提出する必要があります。提出する方法は、以下のようなものです。
- 健康保険から送られてくる封筒に入れて返送する
- 健康保険から指示される方法で送付する
- 健康保険の窓口に持っていく
提出した後は、健康保険から傷病手当金の支給停止(支給調整)や再開などの通知が届くことがあります。
その場合は、その通知に従って対応してください。
診断書や診断書以外の書類は、期限内に提出すること
傷病手当金をもらうためには、医師から診断書をもらって健康保険に提出する必要があります。
また、健康保険から依頼される質問票や調査票、医療機関や医師の同意書や証明書、受診の証明書などの書類も提出する必要があります。
これらの書類は、期限内に提出しなければなりません。期限内に提出しないと、傷病手当金の支給が停止(調整)される可能性があります。
提出期限は、以下のようなものです。
- 診断書は、発行日から2週間以内
- 質問票や調査票は、送付日から2週間以内
- 同意書や証明書は、依頼日から2週間以内
- 受診の証明書は、受診日から2週間以内
提出期限を守るためには、以下のようなことに注意する必要があります。
- 医師に早めに診断書を書いてもらう
- 健康保険から送られてくる質問票や調査票をすぐに記入して返送する
- 健康保険から求められる同意書や証明書を早めに準備して送付する
- 健康保険から指定される受診をすぐに行って証明書をもらう
提出期限を過ぎてしまった場合は、健康保険に連絡して、理由を伝えて対応を相談することができます。
健康保険は、やむを得ない事情があれば、提出期限を延長したり、支給停止(支給調整)を解除したりすることがあります。
健康保険からの連絡や確認には、迅速に対応すること
傷病手当金をもらうためには、健康保険からの連絡や確認に応じる必要があります。
しかし、健康保険からの連絡や確認に迅速に対応しないと、傷病手当金の支給が停止(調整)される可能性があります。
健康保険からの連絡や確認とは、以下のようなものです。
- 傷病手当金の申請や受給に関する質問や依頼
- 病気やケガの状態や治療法に関する質問や依頼
- 仕事に復帰できるかどうかに関する質問や依頼
- 指定された医療機関や医師への受診に関する依頼
これらの連絡や確認に迅速に対応するためには、以下のようなことに注意する必要があります。
- 健康保険からの連絡先を変更しない
- 健康保険からの連絡を見逃さない
- 健康保険からの連絡にすぐに返事をする
- 健康保険からの依頼に従う
健康保険からの連絡や確認に対応できなかった場合は、早めに健康保険に連絡して、事情を伝えることが大切です。
健康保険は、必要な連絡や確認ができれば、支給停止(支給調整)を解除することがあります。
まとめ
この記事では、傷病手当金の支給停止(支給調整)の理由と対処法をまとめています。
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときにもらえるお金ですが、場合によっては支給が一時的に止まったり減ったりすることがあります。
その理由は、以下のようなものです。
- 給与や他の給付が傷病手当金より多くなった場合
- 病気やケガが治ったり軽くなったりした場合
- 医師から診断書や診断書以外の書類をもらえなかった場合や提出できなかった場合
- 健康保険から必要な連絡や確認ができなかった場合
これらの場合には、その理由に応じて対処法が異なります。
また、支給停止(支給調整)を避けるためには、以下のようなことに注意する必要があります。
- 給与や他の給付が変わった場合は、すぐに健康保険に報告すること
- 病気やケガの状態が変わった場合は、定期的に医師に診てもらって診断書を更新すること
- 診断書や診断書以外の書類は、期限内に提出すること
- 健康保険からの連絡や確認には、迅速に対応すること
傷病手当金の支給停止(支給調整)は、生活に大きな影響を与えることがあります。
そのため、支給停止(支給調整)されないように注意したり、された場合は早めに対処したりすることが重要です。
傷病手当金は病気で休職中のあなたには、大事なことです。
私も突然「がん」になり、休職して傷病手当金を受けることで、ずい分助かりました。
大事なことなので、早めの連絡や相談が大切ですよ。
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