あなたはもし病気やけがで仕事ができなくなったら、どんな給付金に頼れますか?
病気やけがで休業すると、収入が減ってしまいます。
生活費や医療費をどうやって捻出するか不安ですよね。
そこで必要なのが給付金です。
給付金は、国や会社や保険会社から支払われるお金です。
しかし、種類や条件や申請方法はさまざまです。
どれを受けることができるかは自分の状況によって変わります。
この記事では、代表的な給付金の種類とその条件と申請方法をわかりやすく解説します。
また、自分に合った給付金の選び方もお教えします。
この記事は、自分も40代で突然がんになり、休職した経験から得た知識やノウハウをもとに書いています。
日本FP協会認定AFP(ファイナンシャルプランナー)でもある私が監修していますので、信頼してお読みください。
病気で休業したら補填されるお金の種類
病気や怪我で仕事を休業すると、収入が途絶え、生活に不安を感じることがあります。
しかし、日本では様々な社会保障制度が整備されており、休業中の経済的なサポートを受けることができます。
以下の様な制度があります。
- 傷病手当金
- 高額療養費制度
- 雇用調整助成金
- 労働者災害補償保険
- 個人賠償責任保険
- 医療保険
- 介護保険
次からは詳しく解説していきます。
傷病手当金
傷病手当金とは、病気やけがで仕事ができなくなった場合に、健康保険から支給される給付金です。
傷病手当金を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
- 業務外の事由(労災保険の対象外)で病気やけがをしたこと
- 仕事に就くことができないこと(医師の証明が必要)
- 連続して3日間以上(待期)休業したこと
- 休業した期間に十分な報酬が支払われなかったこと
参考リンク↓
傷病手当金について – 厚生労働省傷病手当金の支給期間
傷病手当金は、休業した4日目から支給されます。
支給される期間は、令和4年1月1日より、支給開始日から通算して1年6ヵ月です。
ただし、支給開始日が令和2年7月1日以前の場合は、最長1年6ヵ月です。
傷病手当金の支給額
傷病手当金の額は、支給開始日以前12ヵ月間の標準報酬月額を平均した額を30日で割って2/3倍したものです。
ただし、12ヵ月未満の場合は別の計算方法があります。
傷病手当金の申請
傷病手当金を受けるためには、「健康保険傷病手当金支給申請書」を記入して提出する必要があります。
申請書には、「被保険者欄」と「事業主欄」があります。
「被保険者欄」は自分で記入し、「事業主欄」は勤務先で記入してもらいます。申請書に添付する書類は次の通りです。
- 医師の証明書(原本)
- 健康保険被保険者証
- 銀行口座等振込先確認書
申請書と添付書類は、所属する全国健康保険協会へ郵送または持参します。
申請期限は消滅時効(5年)までですが、早めに申請することをおすすめします。
傷病手当金シミュレーター
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これでいくらもらえるのか自分で計算できます。
ブックマークして何度でもご使用ください。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療費がたくさんかかったときに、自分で払うお金(自己負担)を減らしてもらえる制度です。
高額療養費制度には以下の特徴があります。
- 一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻されます。自己負担限度額は、年齢や収入によって変わります。
- 医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。
この方法を使うと、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。 - 高額療養費制度は、私たちが毎月支払う保険料や国や自治体からの補助金で成り立っています。
このお金を使って、医療機関や薬局に支払っています。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、企業が労働者の雇用を維持しながら、業務の減少や休業により労働者の給料を削減する場合に、企業に対して支払われる助成金です。
病気で休業する場合にも、労働者の雇用を維持しながら、企業が支払う給料を補填するために利用することができます。
ただし、助成金を受け取るためには、労働者の雇用維持計画を提出する必要があります。
雇用調整助成金を受ける条件
雇用調整助成金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の適用事業主であること。
- 売上高や生産量などが前年同期より10%以上減っていること。
- 従業員数が前年同期より増えていないこと。
- 労働組合や従業員代表と協定を結んで休業などを実施していること。
- 過去1年以内に雇用調整助成金の支給を受けていないこと。
雇用調整助成金の額
雇用調整助成金の額は、休業手当などの支払率(例えば8割)に助成率(例えば2/3)をかけたものです。
ただし、1人1日あたり8,355円が上限です。
また、教育訓練や出向の場合は別途加算されます。支給される期間は原則として1年間で100日分、3年で150日分です。
雇用調整助成金必要書類
雇用調整助成金を受けるためには、「計画届」、「支給申請書」、「決算報告書」などの書類を提出する必要があります。
書類は厚生労働省ホームページからダウンロードできます。
提出先は所属する全国健康保険協会です。
関連リンク↓
雇用調整助成金・厚生労働省労働者災害補償保険
労働者災害補償保険とは、業務や通勤でけがや病気になったり、死亡したりした労働者やその遺族に、必要な給付をする制度です。
給付の種類には、休業補償給付、医療補償給付、障害補償年金、遺族補償年金などがあります。
また、社会復帰促進等事業という、労働者の安全や衛生の確保などを目的とした事業も行っています。
労働者災害補償保険は、原則として一人でも労働者を雇う事業はすべて適用されます。
ただし、国の直営事業や官公署の事業は除きます。
また、「特別加入」という制度で、芸能関係作業従事者やアニメーション制作作業従事者などの一部の自営業者も加入できるようになっています。
労働者災害補償保険の手続き
労働者災害補償保険の給付を受けるためには、必要な手続きがあります。
まず、労災事故が発生したら、速やかに事業主に報告する必要があります。
次に、事業主は厚生労働省令で定める期間内に最寄りのハローワーク(公共職業安定所)に「労働者死傷病報告書」を提出する必要があります。
その後、「休業補償請求書」や「医療費請求書」などの各種請求書を提出することで給付を受けられます。
関連リンク↓
労災補償・厚生労働省個人賠償責任保険
個人賠償責任保険とは、自分や家族が日常生活で他の人にケガをさせたり、モノを壊したりしたときに、お金を払わなければいけない場合に、そのお金を保険会社が出してくれる保険です。
例えば、自転車で人にぶつかったり、犬が人をかんだり、友達のスマホを落としてしまったりするようなことがあったら、この保険が役に立ちます。
個人賠償責任保険は、他の保険について一緒に入ることが多いです。
例えば、火災保険や自動車保険や傷害保険などにこの保険を付け加えることができます。
また、クレジットカードや共済などでもこの保険に入ることができます。
個人賠償責任保険の金額
個人賠償責任保険の料金は安くて月額100円から200円くらいです。
でも、その分だけ補償するお金の上限も低くなっています。
補償するお金の上限は1000万円から3億円くらいまで色々あります。
もしも補償するお金の上限よりも多くのお金を払わなければいけなかったら、残りは自分で払わなければいけません。
だから、補償するお金の上限は高めに設定しておく方が安心です。
個人賠償責任保険の例外
個人賠償責任保険は便利な保険ですが、すべての事故やトラブルに対応してくれるわけではありません。
例えば、
- 仕事中に起こした事故
- 車やバイクなど乗り物で起こした事故
- ケンカや暴力で起こした事故
- 他人から借りたモノを壊した場合
- 同居している家族同士で起こした事故
これらの場合は個人賠償責任保険では補償されません。
また、台風や地震など自然災害で起こした事故の場合も、一般的には補償されません。
これらは不可抗力と言って誰も責められないことだからです。
医療保険
公的医療保険とは、国や自治体が運営する保険で、日本に住む全ての人が加入することになっている保険です。
公的医療保険には以下の3種類があります。
- 被用者保険(社会保険)
- 会社や学校などで働く人やその家族が加入する保険です。
健康保険や協会けんぽなどがあります。
- 会社や学校などで働く人やその家族が加入する保険です。
- 国民健康保険
- 自営業や無職などの人やその家族が加入する保険です。
市区町村が運営しています。
- 自営業や無職などの人やその家族が加入する保険です。
- 後期高齢者医療制度
- 75歳以上の人や一定の障害を持つ65歳以上の人が加入する制度です。
都道府県が運営しています。
- 75歳以上の人や一定の障害を持つ65歳以上の人が加入する制度です。
公的医療保険に加入していると、病気やケガで医者にかかったり入院したりしたときに、自分で払うお金(自己負担)を減らすことができます。
自己負担は一般的には3割ですが、年齢や収入によって変わります。
例えば、子どもは2割以下、低所得者は1割以下になります。
公的医療保険は、私たちが毎月支払う保険料や国や自治体からの補助金で成り立っています。
このお金を使って、医療機関に治療費を支払っています。
参考記事リンク→病気に備えるための医療保険の種類と選び方【FP監修】
介護保険
介護保険とは、高齢者や一定の病気を持つ人が必要な介護や支援を受けられるように、国や自治体が運営する保険です。
介護保険には以下の特徴があります。
- 40歳以上の人はみんな加入することになっています。
65歳以上の人は第1号被保険者、40~64歳の人は第2号被保険者と呼ばれます。 - 介護保険に加入していると、介護や支援が必要になったときに、自分で払うお金(自己負担)を減らすことができます。
自己負担は一般的には1割から3割ですが、年齢や収入によって変わります。 - 介護保険は、私たちが毎月支払う保険料や国や自治体からの補助金で成り立っています。
このお金を使って、介護サービスを提供する事業者に支払っています。
病気で休業中にできること
病気で休業中でも、自宅でできることや手続きがあります。
例えば、以下のことが挙げられます。
- 病院や診療所の予約、通院のスケジュール調整
- 病状の変化や副作用のチェック
- 医療費の明細書や領収書の管理
- 必要な書類の作成や手続きの準備
- 病気や健康についての情報収集
これらのことを自分でできない場合は、家族や友人、専門家のサポートを受けることもできます。
また、病気で休業中でも、心身の健康を保つことが大切です。
適度な運動や食事、睡眠などを心がけましょう。
身体を治すことが先決です。
できる範囲で無理せずやっていきましょう。
関連記事リンク→入院中の暇つぶしで節約・スマホで節家計見直し術【FP監修】
病気で休業する前に知っておきたいこと
病気で休業する前に、以下のことを知っておくことが大切です。
・会社の病気休業制度や手続きについて確認する
・病気休業中の給与や補償金について調べる
・健康保険や社会保険に加入している場合、病気休業に関する制度や手続きについて確認する
・病気休業前に、医師の診断や診療計画、医療費の見積もりなどを確認する
これらのことを事前に調べておくことで、病気休業中に不安やトラブルを避けることができます。
また、病気休業をする前に、上司や同僚とのコミュニケーションを大切にすることも重要です。
適切な情報共有や代替措置の検討などを行い、円滑な業務運営を図ることができます。
病気で休業したら補填されるお金の種類と条件まとめ
病気で休業した場合、傷病手当金や労災補償など、様々な補償制度があります。
それぞれの制度には、支給される金額や条件が異なりますので、自分に適した制度を選ぶことが大切です。
民間保険に加入していない場合でも、支援金などの制度があるため、一人で悩まずに相談することをおすすめします。
病気による休業に対する補償制度は、社会保障制度の一環であり、国民の安心・安全な生活を支える重要な制度です。
身体を直すことに専念し、使えるものは全て使っていきましょう。
私も健康でしたが、40代で突然がんになり、休職しました。
傷病手当金や高額療養費制度、民間医療保険やがん保険を使い、治療に専念できました。
公的補償制度を上手に使い、治療の時のお金の心配を少しでも減らしてください。
民間の医療保険も活用すれば安心です。
人間は、いつどこで大きなケガや病気になるかは、誰にもわかりません。
後回しにせず、思い立った時に備えを確認しておきましょう。
現在闘病中の方は、治療を優先して、お大事にしてください。
あなたの身体の回復と、お金の心配が減るのを願っています。
元気になった回復報告を頂けると嬉しいです。
コメント欄からお気軽にお声がけください。
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