大事なパートナーや、かわいい我が子に、少しでも多くのものを残してあげたいと考えている方。
自分にもしものことがあった時のために、生前贈与などの対策は必要なのだろうか?
そもそも自分の今の財産でいくら相続税はかかるのだろうか?
相続税を払わなくてよい金額の財産とはいくらまでなのか?
こんな悩みをもっている方はお読みください。
私のように突然「がん」になり、残された家族のことを心配している方。
年を重ねて相続などに関心が出てきた方など、相続税の基本を知りたい方の為に書きました。
相続税の控除額は最低3600万円あります。
それ以下の相続財産であれば、相続税を払う必要はありません。
そもそも日本国内の2020年の時点で、相続税が課税された方(非課税額を超えた方)はわずか8.8%です。
それ以外の方は、相続税の控除額を超える程の財産が無かったため、相続税は無税となり、払わなくてもすんだことになります。
もしかしたら、あなたのパートナーやお子さんは、何も対策をしなくても、相続税は必要ないかも知れません。
先ずは、自分が残す財産が、相続税を払わなければいけない金額なのか知りましょう。
日本FP協会認定AFPの私と一緒に、悩みを解決していってください。
相続税の非課税財産
相続税には最初から非課税と認められた財産があります。
- 墓地、墓石、祭具、仏壇、仏具
- 公共事業用財産
- 申告期限までに国等に寄付した財産
- 債務、葬式費用
- 生命保険金のうち一定額
- 死亡退職金のうち一定額
- 弔慰金のうち一定額
この様な財産は、相続税が非課税となる範囲があります。
以下に詳しく解説していきます。
墓地、墓石、祭具、仏壇、仏具
被相続人(亡くなった方)の財産の中で、墓地、墓石、祭具、仏壇、仏具は相続税が非課税となり、かかりません。
しかし、墓地購入して、支払い終わってない未払金がある場合は、未払金は非課税の対象外となります。
公共事業用財産
公共事業用財産は、個人のためではなく、公共性が高いので、相続税では非課税扱いとなります。
具体的には
- 社会福祉事業
- 更生保護事業
- 科学技術に関する知識の普及または学術の研究に関する事業
- 図書館、博物館、これらに類する施設を設置運営する事業
- 家庭的保育事業、小規模保育事業または事業所内保育事業
- 学校または認定こども園を設置し運営する事業
などが公共事業用財産とされています。
ただし、財産を取得してから2年が経過しても公益事業に使っていない場合は、さかのぼって相続税が課税されます。
申告期限までに国等に寄付した財産
相続税の申告期限までに相続により取得した財産を国、地本公共団体、特定の公益法人などに寄付した場合、寄付した相続財産には相続税が課税されません。
このような場合は、忘れずに相続税の申告期限10ヶ月後までに申告しましょう。
債務、葬式費用
被相続人(亡くなった人)の債務(借入金など)を相続で引き継いだ場合は、債務を非課税として課税価格から控除することがでます。
葬式費用を負担した場合も、葬式費用を課税価格から控除することが可能です。
具体的な対象範囲
債務として控除できるもの
- 借入金
- 未払医療費
- 未払の税金
債務として控除できないもの
- 生前に購入した墓地等の未払金
- 遺言執行費用
- 弁護士、税理士費用
葬式費用として控除できるもの
- 通夜、告別式、火葬、納骨費用
- 遺体捜索費用など
葬式費用として控除できないもの
- 香典返戻費用
- 法要(初七日等)費用など
以上の様に控除対象となるものと、ならないものが分かれていますので、ご確認ください。
生命保険金、死亡退職金のうち一定額が非課税
相続人が受け取った生命保険金、死亡退職金については、相続税の課税対象となりますが、一定額が非課税となります。
非課税限度額の計算方法は
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
となります。
非課税金額の計算では、相続を放棄した人がいる場合は、その放棄がなかったものとした場合の法定相続人数とします。
被相続人に養子がある場合は、養子の数に制限があります。
法定相続人に算定できる養子の数
- 被相続人に実子がいる場合=養子は一人まで
- 被相続人に実子がいない場合=養子は二人まで
相続を放棄したもの、相続人でないものが死亡保険金を受け取った場合は、非課税の適用は受けられません。
弔慰金のうち一定額
相続人が受け取った弔慰金については、以下の範囲内であれば非課税となります。
それを超える金額は、退職手当金として課税されます。
業務上の死亡の場合
非課税限度額 =死亡時の賞与を除く普通給与 × 36ヶ月分
業務外の死亡の場合
非課税限度額 =死亡時の賞与を除く普通給与 × 6ヶ月分
以上の額が非課税となります。
遺産に係る控除額
被相続人が亡くなって相続財産があっても、相続税を払わなくても良い場合があります。
日本では相続が発生した時に、相続税を払わなくてはいけないほど財産を持っている世帯は、わずか10%程度です。
それ以外の世帯は、相続が発生しても相続税の基礎控除額内におさまっていたり、配偶者控除や小規模宅地等の特例などを利用して相続税が発生していません。
ご自分の財産が、いくら相続税控除できるのか、詳しく見ていきましょう。
相続税に係る基礎控除額の計算
相続税の基礎控除とは、相続税を納めるかどうかを判断するための一定の額です。
被相続人(受け取る人)の財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。
基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。
例えば、被相続人が配偶者と子供2人の計3人の法定相続人を残して亡くなった場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×3)」で5,800万円になります。
この場合、被相続人の財産が5,800万円以下であれば、相続税はかからないということになります。
もし財産が5,800万円を超えていたら、その超えた分に対して相続税が課されます。
このようにして、基礎控除額を使って相続税の有無や金額を求めることができます。
相続税の配偶者控除
相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続する財産のうち、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか高い方が控除される制度です。
これにより、配偶者に相続税はかからないか、または軽減されることになります。
配偶者控除の適用を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
- 配偶者が実際に財産を取得していること
- 配偶者が被相続人と婚姻関係にあったこと
- 配偶者が法定相続人であること
配偶者の婚姻期間の長短は関係ありません。
小規模宅地等の課税価格の計算の特例
小規模宅地等の課税価格の計算の特例とは、被相続人または、被相続人の生計を同じくする親族が、居住用や事業用に使っていた宅地等を相続する場合、その評価額を最大80%減額できる特例です。
この特例を受けるには、次のような要件があります。
- 相続した宅地等が小規模であること(面積や評価額に基づく)
- 相続した宅地等が居住用または事業用に供されていること
- 相続した宅地等を取得した者が法定相続人であること
この特例の具体的な計算方法は、次のようになります。
評価額×減額率(80%または50%)=減額額
評価額-減額額=課税価格
・適用される宅地の上限面積と減額割合
宅地等 | 上限面積 | 減額割合 |
事業用(特定事業用宅地等) | 400㎡ | 80% |
居住用(特定住居用宅地等) | 330㎡ | 80% |
不動産貸付用(貸付事業用宅地等) | 200㎡ | 50% |
一緒に住んでいた配偶者が亡くなってしまった時に、相続税が払えないからといって、住む家を追い出されてしまっては困るのでこのような制度があります。
この特例は相続税だけでなく、贈与税にも適用されます。
相続税対策や生前贈与をする前にしなければいけないこと
今回は、様々な相続税の控除や計算方法について書きました。
ご自分が相続税対策や、生前贈与などが必要かを知って、悩みが解決できたでしょうか。
このようなことを考える時に最も重要で、先にしなければいけないことがあります。
それは、自分の財産の現状を知ることです。
自宅の価値は、今いくらなのだろうか。
株式や証券の現在の価値はいくらあるのか。
保険や年金でいくらもらえるのかなど。
現在の自分の正確な財産を知ることができなければ、正確な遺産の計算もできません。
一番最初にやるべきは家計の現状を知ることです。
先ずはそこから始めていきましょう。
税金のことなどが分からない場合は、専門家に相談するのが一番です。
FP(ファイナンシャルプランナー)や税理士などに相談して、現状を知っていれば、これからの対策も考えることができます。
私のように突然「がん」などの大病にかかるかもしれません。
後回しにせずに、今すぐに動きましょう。
それが残される家族のためにもなりますし、自分も現状がわかってすっきりします。
これからのあなたの人生のために、心残りのないように動いていきましょう。
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